立体機動装置のワイヤーの強さについて分析・進撃の巨人考察

立体機動装置のワイヤーの強さの計算

調査兵団の持つ最強の武器が「立体機動装置」です。

 

立体機動装置の作動原理や構造はいろいろな方が考察、検証されていますが、ここでは立体機動装置に使われているワイヤーが、実際の使用に耐えられるか考察してみたいと思います。

 

これは、あくまでわかっている情報からの想定ですので多少の間違いは、ご了承下さい。

立体機動装置の物理的な強さ

立体機動装置も機械の一種ですから、その力に関する考え方には、簡単な物理の知識が必要になります。

 

と言っても専門家ではないので、わかる範囲で考えてみました。

 

荷重、ワイヤーの強さを考える時に必要な要素は、以下の3点が必要になります。

1 装置全体の質量
これは、立体機動装置全体の質量と人間の体重が必要です。
2 立体機動装置を使って移動する時の加速度
3 ワイヤーの直径
ワイヤーの直径がわかれば、ワイヤーの許容荷重、安全荷重がわかります。

立体機動装置の質量

装置全体の質量は、人間の体重と装置の質量の和です。

 

ここで、主人公エレンをモデルとしたいところですが、エレンが速度や距離のわかる背景で立体機動装置で移動したり、巨人を襲撃しているシーンは少ないです。

 

ですから、エレンを主体に考えることは難しいので、立体機動装置を十分に活用させているミカサをモデルとします。

 

最初にミカサの体重と、立体機動装置のワイヤーの質量を合計します。

 

ミカサの体重は、104期訓練生のデータによると体重は、68kgとなっています。

 

また、進撃の巨人展示会の資料によると、展示されていた立体機動装置の原寸大の質量が10kgと表示されていたので、全質量を計算すると、68kg+10kg=78kgになります。

立体機動装置を使って移動する時の加速度

これは、コミックでは、計測判断が難しいので、アニメ版、Seasin1での考察としました。

 

距離と時間が同時にわかるシーンは、ミカサが女型の巨人アニを追いかけ、ウォール・マリアを垂直に上っていく時の場面を参考にします。

 

ウォール・マリアの壁の高さは50m、この時、ミカサがハンジ分隊長を追い抜き、壁を登るのに約4秒かかっています。

 

ここでミカサにかかる加速度aを求めます。

 

 

物理方程式で、距離Sは、S=1/2×a×t^2となるので、50=1/2×a×4×4、

 

a=50/8 です。

 

∴ 加速度a=6.25m/s^2となります。

立体起動装置のワイヤーの直径

ワイヤーの直径は、ストーリー上では示されていません。

 

各描写の中で推測するしかありません。

 

器材の特徴から、おおよそ5~6㎜程度と考えてみます。

 

仮にJIS規格で一般的なワイヤーでめっきタイプ、直径6㎜と想定すると、その破断荷重(切断荷重)は、1.81tonです。

 

しかし、実際には、安全荷重で計算するので、同じくJIS規格によると、0.3ton(300kg)となっています。

 

この0.3tonと、ミカサにかかる荷重を比較すればよいのです。

 

ワイヤー1本あたりにかかる荷重

必要な要素、1、2項目を使ってワイヤーにかかる荷重を計算し、ワイヤーの安全荷重と比較します。

 

ミカサが移動している時にワイヤーにかかる荷重Fは、見かけ上、下向きに荷重が働いているので、荷重Fは、F=ma+mgとなります。

 

ワイヤーにかかる荷重F=(装置を含めた全重量kg)×(ミカサの加速度a)+(装置を含めた全重量kg)×(ミカサにかかる重力g)

 

∴F=78kg×6.25m/s^2+78kg×9.8m/s^2=487.5+764.4=1251.9N(ニュートン)

 

・・ここで、N(ニュートン)をkgに変換します。
・・1kgは9.8Nなので、(正しくは1kgf(kg重)=9.8N)

ここではわかりやすくN(ニュートン)をkg表示にします。

1251.9N ÷ 9.8=127.74kg

 

この数値は、1本のワイヤーで引き上げた時の荷重に等しくなります。

実際の立体機動装置は、2本のワイヤーで支えるのでこの数値を1/2にします。

 

127.74×1/2=63.87kg

 

荷重の結論

ワイヤー1本の切断荷重は、0.3ton(300kg)ですので、300kg>63.87kgとなり、ワイヤーの切断荷重許容内なので、直径6mmのワイヤーであれば、十分装置として機能します。

 

また、もし戦闘中に1本が切れてしまったとしても、1本が残っていれば300kg>127.74kgとなり、使用は可能となります。

 

ただし、戦闘中ではさらに大きな加速度がかかったり、複雑な動きをするので、どこまで耐えられるか、また、人間がその動きに耐えられるかは未知数ですね。

ワイヤーの重量について

ちなみに、直径6㎜のワイヤーロープは、JIS規格によると、1m当たり約0.13kgです。

 

1本の長さが50mと仮定すると、0.13×50=6.5kg、左右を合わせると、6.5×2=13kgとなります。

 

この重量は、ワイヤーだけの重量になります。

しかし、立体機動装置の総重量は10kgと表示されていたので、ワイヤーは更に細いか、軽量化をしたものを装着しているはずです。

 

仮にワイヤーが13kgで立体機動装置が約10kgとすれば、合計で23kgになります。

 

この重量を腰だけで支えるのは、至難の業になると思います。

 

ワイヤーロープの破断荷重や安全荷重を簡単に計算する方法

ワイヤーを扱う業界の人達はこの公式を使用しているようです。

 

それは、

 

破断荷重(t)=(ワイヤーの径 × ワイヤーの径) ÷ 20

 

となります。

 

例えば、立体機動装置のワイヤーを6㎜として想定した時の破断荷重の計算値は、

 

(6mm × 6mm) ÷ 20 = 1.8ton

 

JIS規格でも1.81tonでしたので、おおよそ同じ値になっています。

 

次に、安全荷重は

 

安全荷重(t)=(ワイヤー系 × ワイヤーの径) ÷ 20 ÷ 6

 

で表すことができます。

 

同じように、直径6㎜と想定した時の安全荷重は、

 

(6×6) ÷ 20 ÷ 6=0.3ton

 

これも、JIS規格の値とほぼ同じです。

 

これらの公式を利用して、立体機動装置のワイヤー部分を軽量化するために、ワイヤーの直径を細くする工夫ができます。

 

ワイヤーの直径が3㎜の場合

3 × 3 ÷ 20 ÷ 6 =0.075ton

 

0.075ton=75kg

 

この75kgをミカサの総合荷重と比較します。

 

75kg>63.87kg

 

すなわち、ワイヤー径が3㎜であれば、何とか安全荷重内で動作できるということがわかります。

 

同じように重量ですが、直径3㎜のワイヤーロープは、メーカーカタログ値でおおよそ37.8g/mですので、100mのワイヤーを使うとして

 

37.8g × 100 = 3,780g = 3.78kg

 

直径が6㎜の時と比べると、ずいぶん軽くなります。

ワイヤーの直径が2㎜の場合

2 × 2 ÷ 20 ÷ 6 =0.0333ton

 

0.0333ton=33.3kg

 

この75kgをミカサの総合荷重と比較します。

 

33.3kg<63.87kg

 

すなわち、ワイヤー径が2㎜であれば、安全荷重内をオーバーしてしまうため、使ってはいけないということが言えます。

 

同じように重量ですが、直径2㎜のワイヤーロープは、メーカーカタログ値でおおよそ16.8g/mですので、100mのワイヤーを使うとして

 

16.8g × 100 = 1,680g = 1.68kg

 

結論

ワイヤーが2㎜では、強度不足、6㎜では重量が重くなりすぎるし、かさばります。

 

ですから、立体機動装置のワイヤーは、直径3㎜程度のものを使用するのが最も適当ではないか、ということが結論です。

 

ぜひまた、別の観点から考察していきたいと思います。

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