前装式拳銃(ピストル)第1巻第7話
パラディ島での巨人との戦いでは、さまざまな武器が登場します。
しかし、相手が巨人の場合、我々が知っている拳銃や小銃などはなかなか役に立たないのが現実です。
しかし、実際には、巨人用ではなく、対人用として、一般的に知られている拳銃や小銃について考察したいと思います。
補給部隊が使用していた拳銃について
ウォール・マリアの一部が破壊され、次々と巨人が壁内に進入してきます。
補給部隊は、立体機動装置用のガスボンベを守備していまいしたが、巨人らの進入によって、建物から出ることができず、孤立してしまいました。
そこで、拳銃を使い自決するシーンがあります。
何とも衝撃的なシーンです。
どの戦争でもこのようなシーンが数多くあったのかもしれません・・・。
補給部隊の自決で使われた拳銃ですが、15世紀頃の前装式拳銃(先込式ピストル)に似ています。
一発ずつの銃口から火薬と弾を入れて装填する方式です。
単発式で形も構造も古めかしい作りですね。
拳銃があるということは、複雑な機構部や弾丸を製造する技術がすでに確立されていたということですね。
拳銃の種類
この描写から推測すると、この拳銃は銃口から弾を込める前装式ピストルの一種、フリントロックピストルのようです。
この銃は、単発式で銃口から火薬と弾を込めていきます。
当然、次に装填する時は装薬を規定量計り、銃口から詰め弾丸を押し込みます。
このタイプの銃は、取り扱いには十分気をつけないと危険です。
当時は弾を込めた後から、間違って再度火薬を詰めて爆発した、という事故が起こっていました。
このような事故は、拳銃タイプだけではなく、小銃タイプでも起こっていたようです。
このシーンでの発火機構は、火の付いた火縄を発射薬に点火することによって発射薬を爆発させるという火縄式(マッチロック式)のようです。
小型の拳銃
調査兵団がトロスト区を仕切るリーブス商会の会長、ディモ・リーブルを拉致し、支援を取り付けるために急襲するシーンです。
ここで、サシャが小型拳銃の銃把(じゅうは:にぎりの部分)を弓矢で射抜きます。
この拳銃は、ポケットに入る小型の拳銃のようです。
この拳銃は前装式ではなく、後装式のようです。
後装式は、銃口から弾と装薬を詰めるのではなく、後方の尾栓(びせん)又は銃の途中から弾と装薬を入れていくものです。
もしかすると、弾丸と装薬が一体となった弾丸を使用する現代の拳銃に近いものかもしれません。
また、弾がすでに装填されているのかもしれませんね。
実際にリーブス会長は、銃を握ってすぐ撃とうとしています。
火縄式のように、火縄を用意するような動作はしていないように見られます。
散弾銃 第2巻第9話
散弾銃で巨人に対抗
巨人達との戦いで、生き残った第104期訓練生達が、立体機動装置用のガスを求めて戦うシーンです。
10数人が荷物用エレベーターに乗り、散弾銃で巨人の顔を撃ち、巨人がひるんだそのスキを狙ってミカサ達7人が巨人のうなじを切り裂き倒すという作戦でした。
その時に使用した銃が散弾を使った散弾銃です。
かつての銃は、弾の種類によって、単発で撃つか散弾(細かな弾を集めて弾丸としたもの)を使い分けていたこともあったようです。
散弾銃で巨人を撃った結果
巨人の顔に命中した時の描写によると、顔全体が大きく損傷しています。
このことからも、弾の種類は散弾だと思われます。
進撃の巨人の時代背景では、パラディ島のエルデイア人達の銃は連発では無かったようなので、この一撃必殺の作戦しかとれなかったようです。
連発ができれば、外した場合、すかさず第2弾を発射できますからね。
または連続射撃ができることによって、巨人が倒れるまで確実に仕留めることができたはずです。
ストーリーが展開してくると、パラディ島のエルディア人達とマーレ軍の装備については、かなりの違いが分かってきます。
銃一つとってもその機能、性能が上回っている方が、勝つ確率がはるかに上がります。
この状態で、マーレ軍が総攻撃をかけたらパラディ島のエルディア人はひとたまりもないでしょう。
アルミンの言葉「不利な戦闘は避けるんだ・・・一人も死なせたくないのなら・・・」
よく読んで見るとその通りですね。
決して有利な戦いではないので、限られた資源を有効に使い、賢く戦う。
この言葉の意味は深いと思います。