ぶどう弾は、一度紹介していますが、実際の写真などを見てきたので再度紹介したいと思います。
ぶどう弾 第3巻第10話
ぶどう弾は、マイナーな武器と言えるかもしれませんが、現在のクラスター爆弾の原型と言えるものかもしれません。
クラスター爆弾とは、大きな爆弾の中に小さな爆弾をたくさん入れて、その爆弾を目標付近でばらまくというとんでもない武器です。
国によってはクラスター爆弾を禁止しています。
ぶどう弾(葡萄弾):北海道江差
ぶどう弾を実際に見てきた場所は、北海道西部の江差町です。
江差観光の一つが江差町からかもめ島へ向かう途中の開陽丸です。
開陽丸は、江差沖に沈没した幕府軍の軍艦です。
ここには江差観光にはちょうど良い開陽丸記念館もあります。
「開陽丸」自体は復元したものですが、「開陽丸」の船内が展示施設になっていて実際に引き揚げた装備品や砲弾が展示されています。
開陽丸は戊辰戦争で幕府軍の主力艦として期待されましたが、江差沖で座礁、沈没したという不運な艦です。
榎本武揚や土方歳三などが絡んだ幕府軍の主力艦となるはずでした。
そして引き揚げられた砲弾の中にぶどう弾を発見しました。
ぶどう弾は、小粒の爆弾がぶどうのようにぎゅっと詰まった形からぶどう弾と呼ばれているようです。
これらの砲弾はレプリカではなく、実際に海底から引き揚げられたものです。
詳しく説明されています。
オランダで作られた軍艦なので、艦内の説明はオランダ語でした。
展示説明の葡萄は、オランダ語でドロイフ(druif)です。
ドロイフを葡萄と訳したのは、日本語の蘭学者のようです。
蘭学の辞典にも掲載されています。
進撃の巨人は、ドイツが見本のようですが、「ぶどう弾」は完全に日本語ですね。
それにしても、展示館の中はものすごい数の砲弾です。
やはり砲撃には火力が一番です。
命中精度も重要ですが、火力で圧倒して砲撃を続ければ、たとえ命中しなくても戦意を削ぐことができます。
ぶどう弾の威力
ぶどう弾の威力についての解説はありませんでしたが、現在の武器で言えば「クラスター爆弾」に近いと思います。
クラスター爆弾は、世界的に使用が禁止されています。
爆弾の殺傷力を高めるためには、小粒の破片を沢山ばら撒く方が効果的ですからね。
クラスター爆弾は、爆弾の中に小型の爆弾がたくさん入っていて、空中で小型爆弾が飛び散るようになっています。
ぶどう弾は、空中で飛び散るのではなく、目標に当たった瞬間に小粒の鉄球が飛び散ります。
小粒の鉄球の代わりに、釘や鉄片を入れたものもあります。
爆発した瞬間に、それらが人間を殺傷したり傷つけたりします。
悲しいことですが、人間の考えることはどこまでも残虐です。
ぶどう弾以外の砲弾
開陽丸の中には、いろいろな武器も引き揚げられていました。
ぶどう弾以外にもたくさんの砲弾が展示されています。
ほとんどが10㎝砲の砲弾ですが、小銃などもたくさんありました。
三万点以上の物を引き揚げたそうです。
開陽丸に装備されていた大砲は、搭載砲26門のうち、通常砲8門、クルップ施条砲18門です。
クルップ施錠砲は砲身の中に施錠が切ってあり、弾丸が回転しながら飛翔するように改良された砲身を持っています。
現代の戦車砲や高射砲も施錠が切ってあります。
この施錠により砲弾の直進性が良くなり、命中精度が上がります。
ぶどう弾を発射した大砲
開陽丸に装備されている大砲は26門です。
設計当初は、通常砲20門、クルップ施錠砲6門でしたが、デンマーク戦争を観戦し、施錠砲の威力を目の当たりにした榎本武揚達がクルップ施条砲18門に変更したそうです。
それほど施錠の切ってある大砲は威力があったのですね。
ぶどう弾をどの大砲で撃ったのかわかりませんが、直径12㎝程度の大砲と思われます。
北海道江差の港にドンと鎮座している開陽丸は、進撃の巨人に登場する高速巡洋艦タイプと言えるのではないでしょうか。
ぶどう弾を実際に見ることができる数少ない施設だと思います。
北海道への旅行計画がある、進撃の巨人ファンはぜひご覧になって下さい。